「武蔵の林昌勇」から「獅子の守護神」へ…“出世順位”西武19年ドラ3サイド右腕の挑戦
ルーキーイヤーはほろ苦「まずは1年間戦える体力、身体の強さをつけたい」
卒業後はルートインBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズに入団。肘を痛めたことがきっかけでサイドスローに転向すると、才能が開花した。元ヤクルトで韓国代表だった林昌勇を参考にしたフォームで「武蔵の林昌勇」の異名を誇った。昨年6月のBCリーグ選抜とDeNA2軍との試合で3者連続三振を披露すると、9月にはオリックス2軍との試合で最速149キロを記録。NPB球団から注目を集めるようになった。
「サイドスローのピッチャーを思い浮かべた時、頭の中にぱっと出てきたのが林昌勇投手でした。動画などを見ましたが、全部に惚れました。球速も上がったので、サイドスローが自分に合っていたんだと思います」
同年代の選手が大学4年でドラフトを迎える年までに指名がなければ、NPBは諦めようと思っていた。しかし、わずか1年で西武から3位指名を受けた。ルーキーイヤーの今季は1軍で中継ぎとして2試合に登板。計2イニングを投げ5安打3失点とほろ苦い経験となった。
「1軍で投げた時は、力の差を感じました。ほとんどのバッターが初めての対戦だったのですが、それでも1打席で合わせてきたり、際どいところを見逃してきたり、カットされたり……。2軍では味わえない経験ができました。シーズンの終わりくらいに呼ばれて、2軍で結構投げていたので、体の疲れを感じ始めていた時でした。まずは1年間戦える体力、身体の強さをつけたいと思います」
過去の西武のドラフト3位では、浅村栄斗内野手(現楽天)や秋山翔吾外野手(現レッズ)、外崎修汰内野手、源田壮亮内野手らが名を連ね、出世順位と言われている。しかし、プレッシャーは全くない。
「プロに入ったら周りはみんなライバル。順位に関係なく活躍できるように頑張りたいです。抑えは僕の憧れのポジションなので、西武の守護神を任されるピッチャーになりたいです」
投手歴わずか2年でNPBの舞台を勝ち取った20歳のシンデレラボーイは、今後どんな未来を切り開いていくのか。来シーズン以降の成長に注目したい。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)