「想像とは正反対の方だった」 元ロッテ右腕がすべてを打ち明けた吉井コーチの存在

決断が正しかったと言えるように……次の会える機会に良い報告を

 フェニックスリーグの日程が終盤へ差し掛かりつつも、未だ決断を下すことが出来ずにどこかモヤモヤしたものを抱えたまま、私はいつものように試合後の練習を終えました。10月の後半であるにも関わらず、宮崎には初夏のような柔らかく暖かい日差しが降り注いでおり、周りに誰もいない私たちだけのサブグランドを、優しく包み込んでいました。

 そこで私は、思い切って今考えていることを全て打ち明けることにしました。野球を辞めて別の道へ進もうと考えていることを伝えると、「他に何かやりたいことでもあるのか」と尋ねてきました。私が英語を勉強したいと伝えると、特段、驚いたりもせず、またそれを否定することなく背中を押してくださいました。

 一方で吉井コーチは、もう一年育成でやりながら次の進路を考えてもいいのではないか、といった提案もしてくださいましたが、新しいことを始める時には迷いが少なくなるよう、退路を絶っておいた方が良いと考え、引退を決断するに至りました。

 1年間だけで終わってしまったのがとても名残惜しく、もっと多くのことを学びたかった気持ちもありますが、巡り会えたこと本当に良かったと感じています。今の自分に出来ることは、この決断が正しかったと言えるよう自分をブラッシュアップしていく他なく、また再びお会いする機会があれば、良い報告が出来ればと思っています。

 今年は変則的なシーズンであったにも関わらず、マリーンズはリーグ2位の成績を残し、日本シリーズこそ逃してしまいましたが、着実に強くなってきていると感じています。しかし、その分、来季にかかる期待も大きなものになることが予想されますが、監督、コーチをはじめとする素晴らしいスタッフと、選手が一丸となってリーグ優勝そして日本一と、歓喜の瞬間を見せてくれると信じています。私も一ファンとして、来季のマリーンズの飛躍を応援していきたいと思います。

 また、今回をもちまして「島孝明のセカンドキャリアーBrand New Days―」の連載も終了となります。拙い文章ではありましたが、私の経験や思いが1人でも多くの人にとって有益となっていること、また僅かながらも何か示唆を与えるものとなっていれば幸いです。最後に、ここまでご覧になって下さった方々へ感謝を申し上げるとともに、今後も引き続き第二の人生を歩む島孝明を応援してくださると嬉しいです。

(島孝明 / Takaaki Shima)

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