ロッテ美馬が明かすFA宣言の真実 突き動かした愛息への想い「あのまま仙台にいたら…」

予定外のFA宣言から1年余り「あらゆることを経験した1年」

 当初はFA権を行使せず楽天に残留するつもりだったが、アンナさんの家族から育児サポートが受けやすい関東圏のロッテに移籍。FA宣言から交渉、契約、引っ越し、キャンプイン、開幕、2桁勝利、CS進出……。「激動っていうか、あらゆることを経験した1年って感じですね」とホッと息をつきながらも、大きな笑顔を浮かべる。

「あのタイミングで生まれていなかったらFA移籍していなかった。あのまま仙台にいて、両親のサポートなしに子育てをしていたら、妻が育児ノイローゼになっていた可能性もあるなって思うんです。本当に近くに両親がいてくれて助かっているんですよ。僕の母は息子が生まれる2年前に亡くなっているんですけど、陣痛が始まった10月10日は僕の両親の結婚記念日だったり、繋ごうと思えばいろいろ繋がる(笑)。ただ、なんだろ?って思うくらい、息子の誕生をきっかけにいろいろなことが動き出した感じがしますね。人を集める力や人を喜ばせる力を持っている。そんな気がします」

 息子を「大事な宝物」と話し、「ホントかわいくて。何なんですかね。自分の子どもって、なんでこんなにかわいいんですかね」と幸せそうに目尻を下げる。もちろん、かわいいだけでは終わらない現実もある。これから先、息子は様々な苦労や悩みに直面することになるだろう。その時に向けて、父としての覚悟も決めている。

「いろいろあると思います。でも、先ばかり考えてネガティブになってもしんどいので、その都度、一緒に向き合ってあげたいなと。先のことは今、何も対処できないですから。もしかしたら想像以上に何でもできちゃうかもしれないし、できなかったことだけ手助けできればいい。その準備だけはしておこうと思います。

 野球に限らず、やりたいことはやらせてあげたいんですよね。そのために僕は一生懸命稼ぎます。人よりお金はかかるだろうし、大変なこともあると思うので。思うようなピッチングができなかった日も、家に帰れば妻と息子の笑顔でリフレッシュできる。去年2桁勝てたのは、そのおかげかもしれませんね」

 夫妻を新たな方向に導いてくれた大事な宝物。その存在と笑顔を守るためにも、父は真摯に野球と向き合う。

【写真】アンナ夫人が愛息の右手首欠損症をSNSで報告した実際の投稿

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