楽天選手の心に寄り添う“聡子の部屋”の主に直撃 「お母さんのように支えたい」

楽天の管理栄養士を務める長坂聡子さん【写真提供:楽天野球団】
楽天の管理栄養士を務める長坂聡子さん【写真提供:楽天野球団】

2012年ロンドン五輪では日本選手団をサポート

 一方で「メンタルの専門家でない私が言ったことが、選手のコンディションやパフォーマンスにマイナスに働かないように、不確かなことを言わないように気をつけています」と心得を明かす。「私は食事の専門家なので、食事に関しては、私が言ったことを選手が100%実行したとしても絶対に失敗しないと自信を持てる事しか提案しません。その他の事についての話は、他愛もない話だったり、私に答えを求めているわけではないと思える事もありますが、選手を知るためには重要だと思うので、じっくり耳を傾けるようにしています」。

 ここ数年、「自律神経失調症」を訴える選手が増えるなど、プロ野球界でもメンタルのケアは重要な課題となっている。「ただ、ひと口にメンタルの問題と言ってしまうと、本当の原因が薄れてしまうこともあると思います。食事がメンタルに影響することもありますし、パフォーマンスが上がらないことでふさぎ込んでしまうケースもあるでしょう。原因を明らかにしないと、解決策が見つけられないのではないかと思います」と長坂さんは強調する。実際、「眠れない」と訴える選手の中にも、食事のチョイスや過不足が原因で睡眠の質が落ちているケースがあるため、栄養面は必ずチェックする。

 兵庫県生まれだが、幼少の頃から巨人・長嶋茂雄終身名誉監督の出身地として知られる千葉県佐倉市で育った。「才能はなかったのですがスポーツが好きだったので、スポーツに関わる仕事がしたいと思っていました」。楽天に所属する前は日本スポーツ振興センター(JSC)に勤務。2012年ロンドン五輪にはスタッフとして日本選手団に帯同した。

 楽天は入団創設以来、優勝は2013年の1度だけで、長坂さんの入団後はまだ1度もない。「もちろん優勝してほしい気持ちはありますが、私の仕事は、選手が打席やマウンドに立った時に、食事面であれをやっておけばよかったと後悔することなく、その時に出せる力を100%発揮できる状態で送り出すことだと感じています」とキッパリ。

 今年、オンラインで行われた年明け最初の球団コンディショニング部のミーティングでは、「お母さんのように時にはやさしく、時には崖から突き落とす感じで、選手をサポートしていきたいと思います」と宣言したとか。こういうスタッフがいるから、選手は奮い立つ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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