入院中にプロ志望届提出 ロッテ育成左腕・本前郁也が1軍キャンプ抜擢で抱く野心

高校の先輩でもある西武・齊藤誠人から「待ってるからな」

 2017年の育成ドラフト2位で西武に入団した齊藤誠人捕手は小中高の2学年先輩で、よく食事に連れて行ってもらっていた。「待ってるからな」という言葉をもらい、より一層プロへの気持ちが高まった。

 札幌学生野球連盟1部リーグでは3度の最優秀投手に輝いた本前だったが、ドラフトを控えた2019年9月2日にアクシデントに見舞われた。日本製鉄室蘭シャークスとのオープン戦で、打球が頭部を直撃し、入院することに。「プロ1本だったので、ひとまず出しとこうと思って出しました」と入院中の同14日にプロ志望届を提出。育成1位でロッテから指名を受け、北翔大から初のプロ野球選手となった。

「指名された時にギリギリ動ける状態だったので……」。そんな状況でも指名してくれた球団には感謝しかなかった。

「育成からなんで、這い上がろうと思いました」とプロ入りした時の心境を振り返る。プロのスイングスピードやバッティング技術に驚きながら過ごした1年目を経て、今キャンプは育成投手で唯一の1軍キャンプスタート。11日の紅白戦では紅組の先発投手にも指名され、首脳陣から左腕にかかる期待は大きい。

 11日からは第3クールで、実戦も始まっていく。目標とする選手に挙げた小島和哉、中村稔弥の他にも、山本大貴、鈴木昭汰ら若きサウスポーが凌ぎを削る投手陣の中で、チャンスを掴み取りたい。「自分に任せられたイニングの中で、持ち味であるまっすぐの投げ分けと、変化球のコンビネーションをしっかりして、アピールできればなと思います」。まずはキャンプで結果を残し、支配下登録と1軍の舞台での活躍する将来を見据えていた。

○本前郁也(もとまえ・ふみや)1997年10月2日、北海道札幌市出身。23歳。小学4年時に野球を始める。中学時は札幌白石シニアでプレーし、札幌光星高から北翔大学に進み大学通算14勝。札幌学生野球連盟1部リーグでは3度(2年春、3年春、3年秋)の最優秀投手となる。2019年育成ドラフト1位で入団。175センチ76キロ。左投げ左打ち。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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