折れた木製バットはどうなる…? “箸だけじゃない”意外な再利用方法とは

折れたバットは箸の製造メーカーに送るという

「まずは、球場のボールボーイがベンチ裏に持ってきてくれます。そして、私のような用具担当が回収します。事前に『折れたバットは自分のところに戻して欲しい』という選手もいるので、ビジター球場で起きた場合は東京ドームに持って帰ります。その他の場合は、兵左衛門(ひょうざえもん)さんという会社に送っています」

 兵左衛門とは箸の製造、卸し、販売の老舗メーカー。球団スタッフが運送会社に委託して、平均して1度に30~40本くらい集まったところで専用ケースに入れて、送る。練習でもバットが折れたりもすることもあるため、1軍ならば、約2か月に1度のペースでそれくらいは集まるという。

「箸以外の使い方としては、ロッカーに置いておく人もいますね。プロの選手はバットに自分の名前が入っていますから、折れた部分を、テーピングで巻いて、繋ぎ合わせて、サインを書いて、メーカーさんに返している選手もいます」

 キャンプなどで折れたバットをファンにプレゼントする時も、一度、ベンチに戻し、テーピングで巻いている。持ち帰る際にけがをしてしまう危険性もあるため、最大限のケアをする必要がある。また、メーカーからスポーツ用品店に渡り、店内に飾ってもらうケースもある。そこには選手やメーカーからバットを作ってくれた職人への感謝の気持ちが込められている。

 箸やサインバットだけに変わるのではない。実際に大野さんが自宅で使っている写真を見せてもらいながら、説明してもらった。

折れたバットが靴べらに大変身、無駄にしたくない職人の技術

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