4球連続ストレートに表れた“駆け引き” ダルビッシュがOP戦初登板で得た収穫とは?
「これから良くない先発もあるでしょう」シーズン開幕へ抜かりない準備
野茂氏からの助言を参考に、今キャンプで試行錯誤を繰り返すスプリットは、走者を置いた場面で決め球にも使った。1回、2死から3番モンデシーに右前打を許し、打席に迎えたのは2019年に48本塁打を放ちタイトルを獲得している4番ソレア。カウント1-2からの外角低めに落ちる148キロで見逃し三振に仕留めた。
「試合の中で今日も良い球もありましたし、ちょっとずつ上達しています」
暴投になる危険性をはらんだ場面で、意図したところへ変化させた一投は、この日の大きな収穫になったはず。
気力も充実した。1回、先頭の好打者メリフィールドに対し、カウント2-2から外角低めに狙った155キロの直球がコールされず、ダルビッシュは一瞬、顔を背け悔しさを滲ませた。レイズからパドレスに移籍し、今季ダルビッシュと先発2枚看板を形成する2018年のサイ・ヤング賞左腕スネルは、3日のオープン戦初登板後にこう話している。
「(味方ではない)本当の打者と向き合うことで(勝負への)真の感情が湧いてくる。春は時間とともにそれを大きくしていかなければいけない。それが元の自分になれる唯一の手立てだ」
「まだ1試合目。これから良くない先発もあるでしょうし、今日は試合に投げられたことでホっとしています」。勝負勘を呼び起こす最初の作業を終えた右腕は8日、チーム初のオフデーで英気を養う。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)