投手分業制の時代に必要なのはリリーフの奪三振? データで見る最強パ投手陣の成績

リリーフの奪三振率も注目すべき要素

 それぞれの奪三振数、奪三振率を見ていくと、リリーフ陣が388.1イニングで387奪三振というソフトバンクの充実ぶりがやはり目につく。ただ、防御率がリーグ5位の楽天と6位の西武を除く上位4チームは、いずれもリリーフ陣の奪三振率が8以上だった。チーム全体の奪三振数がリーグ5位のロッテも例外ではなく、リリーフ陣の奪三振に関しては十分に高い数字を記録している。チーム防御率良化には、リリーフの奪三振率も欠かせない要素のようだ。

 ここからは、過去の例を参照していきたい。2010年から2019年にそれぞれリーグトップの防御率を記録したチームの、先発とリリーフの成績は以下の通りだ。

2010年から2019年にそれぞれリーグトップの防御率を記録したチームの、先発とリリーフの成績【表:PLM】
2010年から2019年にそれぞれリーグトップの防御率を記録したチームの、先発とリリーフの成績【表:PLM】

 2010年の日本ハムでは、防御率・奪三振率ともに、先発とリリーフの間に大きな差はなかった。しかし、2011年以降の各チームにおいては、奪三振率の面でリリーフが先発を大きく上回り、2012年以降は防御率も、おおむね同様の傾向にある。防御率リーグトップのチームのリリーフ陣は、安定感と奪三振能力の双方が優れているケースが多いようだ。

 また、リリーフが防御率2点台、あるいは奪三振率8以上を記録したのは、それぞれ6回。リリーフ陣がイニングを上回る奪三振数を記録したシーズンも3回あったが、その全てが2015年以降のソフトバンクによるものだった。この期間にリーグ優勝2回、3連覇含む日本一4回を達成しているソフトバンクの強さからは、やはり防御率・奪三振能力ともにずば抜けたリリーフ陣の奮闘ぶりが見えてくる。

 ここまでリリーフばかりを取り上げたが、先発の意地が垣間見える数字もある。2011年以降の各チームは、平均投球数がいずれも95を上回っており、平均投球回は全ての年で5.50以上だった。先発がしっかりとイニングを消化し、リリーフに過度の負担がかからないからこそ、チーム全体の防御率も優れたものになった、という考え方もできそうだ。

リリーフの充実ぶりが王者の条件に?

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