「一方通行は嫌」田中将大、開幕への“課題”はマウンドではなく“意思疎通”

田中将「僕もキャッチャーがどう考えているのかを知りたい」

 とはいえ、太田には投手に“忖度”してサインを出すようなことをしてほしくないと言う。「(太田とは)僕がどういう考えを持って投げているのか、登板ごとに、あるいはイニング間にも話し合ってきました。決して一方通行でなく、向こうも『僕はこう思ってサインを出したんですけど……』という風に、言葉のキャッチボールはできていると思います」とした上で、こう強調した。

「なかなか難しいことかもしれないけれど、キャッチャーは扇の要といわれるポジションですし、先輩投手は僕だけではない。そこはあまり気を遣わないでほしい。気を遣うことがチームにとってプラスになるとは思えない。チームを最優先に考えて行動してほしい」

 太田は昨季、チーム最多の67試合でマスクを被り、盗塁阻止率はリーグトップの.333をマークしたが、まだプロ3年目の24歳。太田に限らず、現在1軍に帯同している捕手(田中貴、下妻、石原)は全員20代だ。田中将、涌井秀章、岸孝之、則本昂大ら輝かしい実績を誇る30代の投手を前にして、やや気おくれしたとしても無理はないかもしれない。しかし、ピッチャーに投げたい球種を投げたいコースへ投げさせているだけでは、バッテリーの関係が深まっていかないのも確かだ。

 32歳の田中将は「僕もキャッチャーがどう考えているのかを知りたい。一方通行は嫌です。自分では気付けないこともある。お互いに意見を出しながらやっていきたい」と念を押すように言った。

 2月6日に少し遅れて春季キャンプに合流した際、「アメリカで7年プレーした経験があるので、気軽に、気軽に聞いてください」とナインに呼びかけたマー君。これもまた、若い捕手陣へのメッセージかもしれない。豪華な先発4本柱を生かすも殺すも、キャッチャー次第と言えそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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