チーム打率も防御率もリーグ5位 故障禍&打てなくても西武が低迷しない理由とは

三塁盗塁の“効用”を強調「相手のプレッシャーが高まる」

「現在のスタメンで、出塁してノーマークでいい選手は森友哉と中村剛也くらいでしょう。あとは走れる選手ばかり」と西村氏。「足の速い選手は相手にとって嫌なものです。四球を出して盗塁されれば二塁打と同じ。走者を警戒することで投手が自分のリズムで投げられなくなったり、配球も変わったりする。相手野手のポジショニングも変わってくるので、攻撃側に有利になることが多い」と語る。

 バックアップに俊足の選手がいるかどうかで戦術的にも大きく変わってくるという。今季は9回打ち切り。「接戦の場合、終盤での代走は重要です。今年は延長がないので積極的に起用できる。延長があると、終盤の大事な場面でも選手交代を躊躇してしまうことがあります。足が遅くても打力のある選手にもう1打席回るかもしれないと考えると、代えにくくなるものです」。

 盗塁については「近年は減っているような気がする」という三盗の重要性も強調する。キャリアハイの55盗塁をマークした1988年には「13か14くらいはあった」といい、チャンスがあればトライする価値は大きいと強調する。「三塁に走者がいれば、バッテリーは暴投を警戒して低目の変化球が投げにくくなります。内野手は絶対にミスできない状況になり、打者の足が速い場合はプレッシャーはさらに高まります」。

 リーグVを飾った2018、19年は“山賊打線”と称される強打がクローズアップされる一方で、盗塁数もリーグトップ(2018年=132個、2019年=134個)だった。「離脱している主力がいつ戻ってくるか。そこがカギになるはず」と西村氏。機動力を備えたチームに太い幹が戻ってくれば、2年ぶりリーグ優勝が現実味を帯びてくる。

(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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