走られまくった佐々木朗希の“未熟さ” 単調な「マウンド捌き」と「投球後の姿勢」
クイックモーションの速さもプロとして合格点未満
クイックモーション自体も、決して速い方ではない。ストップウォッチを手に試合をチェックした野口氏によると、佐々木朗の場合、投球動作の始動から捕手がボールを捕るまでのタイムは概ね1.28~1.31秒。最速でも1.26秒だった。「1.1秒台なら速い方。1.25秒までなら合格点。佐々木朗はもう少し改善が必要でしょう」と解説する。さらに、こうも言う。
「ひょっとすると、セットポジションで静止した時のスタンスの幅、つま先の向きなどに癖があって、牽制するのかホームへ投げるのかがわかりやすかった可能性もある。2軍戦の登板を偵察しただけでも、そういう情報は取れますから。動画などでチェックする作業が必要でしょう」
また、投げ終わりにも注文を付ける。「投球後の守備姿勢に、一塁側へ流れがちな欠点がある」。4回2死からの金子の遊撃内野安打は、フィールディングの上手い投手であれば投ゴロとして処理できた打球だった。
とはいえ、未完の19歳に現時点でそこまで求めるのは無理というものだろう。挙げられた課題は、いずれも投球以外の部分。投げている球は超一級品だけに、野口氏は「セットポジションで足を上げるタイミングは、意識すればすぐに直せるし、クイックや守備姿勢も練習すれば改善できる」とうなずく。令和の怪物は、登板ごとに成長の跡を見せてくれるはずだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)