“外れ1位”で5球団競合から5年… ロッテ佐々木千隼に見える成長と変化

与四球率と被本塁打率で大きな変化が

 一方で、与四球率と被本塁打率の面ではかなりの変化が見られる。この2つの指標はキャリアを通じてやや悪い傾向にあり、双方の数字に改善が見られた2019年は投球自体も安定していた。四球と被本塁打の割合は、佐々木千の投球内容そのものに影響を及ぼす要素で、打たせて取る投球をスタイルとする以上は、無条件で走者を溜める四球と、走者を全て返される被本塁打が、いずれも失点数に直結するのは自然なことだ。

 2021年は10.2回を投げた時点で四球がわずかに2つ、与四球率1.69と改善を見せている。同様の傾向は被本塁打率の面でも見られ、今季は1本も本塁打を許していない。自身のピッチングスタイルに即した投球内容の進化が、今季の佐々木千の安定感を支える理由の1つとなっているのは間違いないだろう。

 故障を経てのフォーム変更と速球の威力向上が奏功し、より打者にとって打ちづらい投手へと進化。それに加えて、与四球と被本塁打の確率も大きく減少し、昨季までの失点パターンにつながる要素も少なくなりつつある。今季の佐々木千が安定感のある投球を続けていることには、それ相応の理由が存在している。

 新境地を開拓した右腕はこのままリリーフ陣の一角として好投を続け、チームにさらなる勝ち星を呼び込んでいくことができるか。プロ入りから5年。紆余曲折を経てついに覚醒の時を迎えつつある佐々木千隼のブルペンにおける重要性が、今後さらに増してくる可能性は十二分にありそうだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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