「2番・捕手」は球界の新トレンド? DeNA三浦監督が伊藤光を8年ぶり抜擢した理由

DeNA・伊藤光【写真:荒川祐史】
DeNA・伊藤光【写真:荒川祐史】

他球団でもヤクルト・中村、西武・森、ソフトバンク・甲斐が今季中に2番を務めた

■DeNA 10ー3 オリックス(25日・横浜)

 セ・リーグ最下位を低迷するDeNAの三浦大輔監督が、交流戦開幕とともに動いた。25日に本拠地・横浜スタジアムで行われた交流戦初戦のオリックス戦で、伊藤光捕手をスタメン2番で起用したのがその1つ。ベイスターズの捕手が2番で先発したのは、2007年10月7日・中日戦の相川亮二氏(現巨人3軍バッテリーコーチ)以来14年ぶりだった。チームは10-3で大勝し幸先良いスタートを切った。

「光は打撃の状態がいいし、細かいこともできる。交流戦を機に新しいオーダーを組みました」。三浦監督は試合後にそう説明した。新打線は5回までに5本塁打で8点を奪い、8回には桑原の2点二塁打でダメ押し。これまで「形は作っているが、あと1本が出ない」と苦悩していた就任1年目の指揮官が、一変して「先制、中押し、ダメ押しという得点の仕方は理想的だった」と目を細めた。伊藤光は4打数1安打1死球。自身は過去に1度、オリックス時代の2013年10月8日の楽天戦でスタメン2番を務めた経験があった。

 今季のDeNA打線はコロナ禍で両外国人抜きでの開幕を強いられたが、徐々に持ち前の破壊力を発揮。残された懸案が「2番」の人選だった。交流戦前の47試合で大和、柴田、関根、倉本、牧、宮崎、田中俊、知野の8人が務めるも定着せず。一方、捕手はこれまで誰が先発しても打順は8番と決まっていた。

 ちなみに、極めて珍しかった「2番・捕手」が今季はちょっとしたトレンドとなっている感がある。ヤクルトの中村がハマり、西武の森も5試合務めている。ソフトバンクの甲斐も22日のオリックス戦で2番に置かれ、3打数1安打1四球1盗塁と躍動した。

 伊藤光がこのまま2番に定着できるなら、低迷脱出へ向けて光明となるが、そもそもDeNAの捕手は今季も戸柱、嶺井、山本、高城が入れ替わり起用されてきた。伊藤光は開幕前に左足首を痛めたこともあって出遅れ、18日にようやく1軍初昇格。昨季はわずか30試合出場にとどまっていた。

 この日の伊藤光は、先発のピープルズと今季初めてバッテリーを組み7回6安打1失点の快投を演出。三浦監督から「ピープルズ本来のゴロを打たせる投球を引き出してくれた。経験豊富な捕手らしく、うまくリードしてくれたと思う」と称えられた。DeNA浮上の鍵は当面、このプロ14年目のベテラン捕手が攻守両面で握ることになりそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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