プロ野球新記録へ導いた“新人王からの脱皮” 西武・平良に求められる次なる偉業

剛速球一辺倒は捨てた 変化球の精度上げて進化

 この日の16球中、速球は5球で、スライダーが最多の6球、カットボールが5球。54試合で53イニングを投げ11失点。防御率1.87をマークした昨季は、ストレートが56.5%を占めていたが、今季は30%台で推移し、スライダー、カットボール、チェンジアップの割合をが増えている。1つ1つの球種の精度が上がり、打ち取るパターンが増えたことが、無傷の快進撃の背景にある。

 知名度、露出も大幅アップ。右肩にのしかかる重圧も増しているはず。辻監督は「新記録を達成したのだから、そういう風な話題にはもう触れなくてもいいじゃん。おとなしくしてやって」と報道陣に要望したが、「開幕から」に限らなければ、2003年の西武・豊田清(現西武1軍投手コーチ=ブルペン担当)、14年のオリックス・比嘉幹貴がマークした「34試合連続無失点」のパ・リーグ記録、06年の阪神・藤川球児が保持する「38試合連続」のプロ野球記録がある。それを聞いた辻監督は「う~ん、豊田はウチのコーチだから……豊田くらいは抜かしてやれ!」と苦笑した。

 平良がこの調子でいけば、新記録達成どころか、東京五輪で侍ジャパンの守護神の重責を担う可能性が十分ある。仮にそうなっても、発展途上の若者が日の丸を過剰に意識する必要はないだろう。あっけらかんと重圧を受け流してほしい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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