落合GM惚れ込んだ“鬼肩”がなぜトレード? 谷繁以来の正捕手期待も…逃した好機
2020年途中から木下拓の台頭許す
しかし2020年2月の春季キャンプで、風向きが変わるきっかけが起きる。オープン戦開幕となる阪神戦(北谷)でスタメンマスクを被ったが、3投手をリードして6失点を喫した。試合後、伊東勤ヘッドコーチは「任せた意味を感じていない。ワンプレーを引きずって、精神的に弱い。覇気がない」と強い剣幕で一蹴された。開幕スタメンはつかんだが、ベンチスタートが目立ち1軍29試合出場にとどまった。
対照的に、2020年は1学年先輩の木下拓が88試合に出場。沢村賞に輝いた大野雄大と最優秀バッテリー賞も獲得した。今季もその流れは変わっておらず、加藤匠は出場機会がないまま地元の東海地方を去ることになった。
チームの捕手陣を見ると、育成で今季加入した山下斐紹が6月に支配下登録。8年目の桂依央利とともに現在1軍は捕手3人体制を敷いている。ファームでは、大卒2年目の郡司裕也や高卒3年目の石橋康太ら若手が奮闘している中で、球団は29歳を迎えた加藤匠に新天地を用意した。
近年はトレードへの暗いイメージは薄れ、才能を“生殺し”しないための球団の温情も見え隠れする。さらに中日の外野陣は、主力の平田良介や新助っ人のマイク・ガーバーら続々とアテが外れる中で、トレードが成立した背景も容易に想像できる。加藤匠にとっては心機一転のチャンスであることは間違いなく、球界屈指の武器を携えてリーグを移る。
(Full-Count編集部)