東京五輪で日本に立ちはだかる可能性も… オリの功労者ディクソンが刻んだ8年の足跡

ブランドン・ディクソンの年度別投球指標【画像:(C)パ・リーグ インサイト】
ブランドン・ディクソンの年度別投球指標【画像:(C)パ・リーグ インサイト】

先発では打たせて取るスタイル、救援では空振りを狙う投球にシフト

 続けて、ディクソンが記録した各種の投球指標を紹介しよう。

 ディクソンは、ゴロアウトが占める割合が高い典型的な“グラウンドボールピッチャー”として知られた。打たせて取る投球スタイルを軸としていたことは、通算奪三振率が6.79という数字にも裏付けられている。

 具体例としては、奪三振率が7.30と比較的高かった2016年は、防御率が4.36とNPB移籍後ではワーストの数字に。一方で、奪三振率5.69と最も低かった2017年の防御率は3点台と大崩れしていなかった。こうした傾向からも、奪三振が多いシーズンは好調とは一概に言えない投球スタイルだったことがうかがえる。

 また、投球内容そのものだけでなく、制球面でも一定の水準を保ち続けていた。先発時代の与四球率は6年連続で3点台以下と、どのシーズンも大崩れはせず。奪三振が多くないにもかかわらず、K/BBが2.00を下回った年は2度のみという点も制球力の証明と言えよう。特に、2017年以降は2年続けて与四球率が2点台とより安定度を増しており、ベテランとなってからの投球にはより円熟味が加わっていた。

 しかし、2019年に先発からリリーフへ転向してからは、ピッチングスタイルにも少なからず変化が見られた。2019年には来日後初めて奪三振数が投球回を上回ったが、与四球率は2年続けて4点台に。打たせて取る投球が持ち味だった先発時代とは異なり、より空振りを狙っていく方向へとシフトしていたことがうかがえる。

 以前とは大きく異なる投球スタイルに変化したにもかかわらず、リリーフ転向後も防御率は2年続けて3点台と、一定水準の投球を見せていた。クローザーとして絶対的な安定感とは言えなかったものの、これらの数字は、持ち場の変化に応じたスタイルの転換と、それを可能にした引き出しの多さ、ならびに高い適応力を示したものでもある。

東京五輪米国代表として再び日本の地を踏む可能性も

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