閑古鳥から満員御礼への軌跡 DeNA初代監督・中畑氏が徹した“営業マン”役

三浦監督に日本一への“リミット”提言「3年以内」

 現役時代は巨人の大先輩、長嶋茂雄氏や王貞治氏の懇切丁寧なファン対応を見て育ち、ファンサービスは当たり前と体に染みついている。メディア対応もその1つ。「マスコミの前に出るの大好きだから」と笑わせたが、在任した4シーズンは「ファンは負けた時の監督の心理を生の声で聞きたいはず。言い訳も含めてね(笑)」と一度も試合後の取材を断ることはなかった。ファンを大事にする姿勢は選手にも伝えてきたこと。「選手も1人1人がセールスマン。12球団で一番ファンサービスができるチームとして認識されるようになり、グラウンドと観客が一体となるチームになってきた」と大きな笑みを浮かべる。

 今季、三浦大輔新監督を迎えたチームは苦しいスタートとなったが、交流戦を機に流れを引き寄せつつある。中畑氏は「(就任1年目、2012年シーズンの)俺よりスタートとしては悪い方だよね。厳しかったけど、選手が復活して揃ってきたので、ある程度戦えるチームになってきた手応えはあるはず。新しいDeNAを大輔の色を出しながら、投手力をメインにやってほしい」とエールを送る。

 同時に「(自分の)希望もあるけど、3年以内」と日本一への“リミット”を提言。「三浦監督の“寿命”もそのくらいだと思う。3年以内という覚悟を持って、やっていくチーム方針でいけば、スタンドのファンにも空気が伝わって盛り上がる。3年以内というのを、大輔がどう感じ、どう対応して、どう成長させるか」と期待を寄せた。

「俺はずっと最下位。文句ある?(笑)」とキヨシ節で締めくくった中畑氏。監督の座を退いた今もなお、球団への愛は薄れることはないようだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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