田中貴に続き巨人からまたも捕手を補強 楽天石井監督、炭谷獲得の狙いとは?

西武時代には石井監督とバッテリーを組む

 昨年9月に28歳の田中貴を獲得した際、石井監督(当時GM専任)は「(同年10月の)ドラフトで捕手以外に優先して補強したいポジションがある。(田中貴獲得で)別のポジションに枠を使える」と説明していた。実際、楽天はドラフトで指名した7人(育成1人を含む)中、6人を投手で占め、残り1人を内野手に回すことができた。当時、太田と足立が相次いで故障し捕手が手薄となった事情もあった。

 今回は単なる“人数合わせ”ではない。東日本大震災発生からちょうど10年の節目で、半ば優勝を義務付けられた今季、現状では首位に4.5ゲーム差の4位にとどまっている。浮上のためには、プロ16年目・33歳と経験豊富な炭谷のリードが必要とされる局面があるはずだ。

 さらに、3年目・24歳の太田ら若い捕手陣の手本になれる人材でもある。楽天は2018年オフ、当時DeNAコーチで名伯楽として知られていた光山英和・現バッテリー兼守備戦略コーチを招聘。長年正捕手を張ってきた嶋基宏捕手は19年オフにヤクルトへ流出したものの、捕手育成のために手を打ってきた経緯がある。8年ぶりにチームに復帰した田中将大投手も、今季全11試合で太田のバッテリーを組み、綿密にコミュニケーションを取りながら配球術の向上に一役買っているところだ。

 巨人との間では、ウィーラー内野手-池田駿投手、高梨雄平投手-高田萌生投手に田中貴の件を合わせ、シーズン中だけで3件のトレードが成立。信頼関係が醸成されていたことも炭谷獲得に幸いしたと言える。

 炭谷にとっても楽天は、西武時代にバッテリーを組んでいた石井監督をはじめ、渡辺直人打撃コーチ、涌井、岸、牧田、浅村ら気心の知れた元同僚が多く、溶け込みやすい環境。戦力としても若手の手本としても、機能する条件がそろっている。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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