「今すごく状態が良くない」侍ジャパン村上、復調への“行動”と稲葉監督の思い

侍ジャパンのミーティングに臨んだ村上宗隆【写真:Getty Images】
侍ジャパンのミーティングに臨んだ村上宗隆【写真:Getty Images】

前夜に広島・鈴木誠也の部屋をバット持参で訪問

 本番までに調子を取り戻せるか。東京五輪に出場する野球日本代表「侍ジャパン」は19日、仙台市の楽天生命パーク宮城で強化合宿を一般非公開でスタートさせた。フレッシュな魅力を放っているのが西武・平良海馬投手とともにチーム最年少の21歳、ヤクルト・村上宗隆内野手だ。

 守備練習の冒頭、村上はなぜか外野陣とともにセンターの位置に入りノックを受けた。その理由を稲葉篤紀監督は「あの時間、内野手は室内練習場でサインプレーの練習をしていたが、三塁手は関わらない内容だったので、それなら外野でランニングをしながらノックを受けたらどうかと勧めました」と説明。「(記事を)書きたいのは重々わかりますが、(村上の外野は)ないと思います」と苦笑した。村上自身も「僕はセカンド・ショートを守らないので、やることがなかった」と語った。

 村上は今季、三塁手で76試合、一塁手で7試合先発。打っては、ヤクルトの全83試合で4番を務め、リーグ2位の26本塁打、同3位の61打点をマークしている。だが、「今、すごく状態が良くないと感じている。全てにおいて悪い」と表情を曇らせる通り、7月に入ってからは11試合で月間打率.178(45打数8安打)、2本塁打8打点と本調子には程遠い内容だ。

 日の丸を背負って世界と戦うという環境の激変が、復調のきっかけになれば何よりだ。出場選手24人中、三塁を本職にしているのは村上だけ。現役時代にヤクルト、日本ハムで活躍した稲葉監督にとっては直系の後輩であり、同じ左のスラッガーだけに思いは強い。この日も直接アドバイスを送った。村上は「体重移動とか、構えを見た感じを言っていただきました。今日の練習だけでなく、ずっと見ていてくださったので」と明かした。

 宿舎入りした前夜には、広島・鈴木誠也外野手の部屋を訪問。「いろんな人に、いろんなお話を聞きたいと思っていて、バットを持ってお邪魔しました」。5歳上で実績抜群の鈴木誠に対しても「誠也さんとは(ペナントレース中の)試合前にも話します。初めてではないので」と臆するところはない。

 五輪では当然、相手は全員外国人投手となるが、「とにかく自分の状態を上げれば打てると思うので、そこだけをしっかり意識してやりたいと思います」と言い切る。7月28日のドミニカ共和国との開幕戦は目前。村上の復調は間に合うのか。この若武者が五輪で自信をつかめば、侍ジャパンにとっても大きな力になるはずだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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