侍の命運を握る田中将大の“役割” 高橋慶彦氏が「赤ヘル軍団」に重ねる強さの原動力
田中将は「年齢を重ねて投球はうまくなっている」
「チームが機能するかどうかは、人間的に頼れる選手がいるかどうかで大きく変わる。2016年から広島が3連覇した時には新井貴浩がいた。俺たちの時代は、山本浩二さんと衣笠祥雄さんが柱だった。人間がやる以上、相談役や心の支えが必要だ。しかもマー君は今季もある程度成績を残しているから理想的」と説明する。
東京五輪出場メンバーの中で、田中将は中日・大野雄大投手、巨人・坂本勇人内野手と並んで最年長。しかも、過去に五輪(2008年北京大会)を経験している唯一の選手だ。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも2度出場し、ヤンキースで7年間活躍した。今季成績以上に、国際経験が圧倒的である。
稲葉監督は本来、菅野にも万全の状態ではないことは承知の上で、同様の役割を期待していたはず。出場辞退に至ったことで、田中将の存在意義はなおさら大きくなる。
高橋氏は今季の田中将の投球を「オーラがなくなったような気もしたが、それは8年前の最高の状態のイメージが強過ぎるからであって、年齢を重ねてピッチングはうまくなっているのではないか」と評する。悲願に向け、重要な役割を担うことになりそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)