侍ジャパン、快勝の鍵は「低め打ち」 元WBCスコアラーが読み解く攻略ポイント

金メダルには太鼓判「普通のことを普通にこなせば、十分勝ち取れる」

 ところで、今大会で使用されているSSK製のボールは、MLB使用球よりはミズノ製のNPB統一球に近い形状です。メキシコ代表の大半の選手を含め、米国でのプレー経験が長い打者は、縫い目が高く変化球の曲がりが大きいといわれるMLB使用球を見慣れていて、今大会に関しては、スライダーなど横の変化には簡単に対応していると感じます。

 この試合でも、国内で無双している平良海馬投手(西武)が、メネセスに左翼席への2ランを浴びたのもスライダーでした。フォーク、チェンジアップもしくはカーブなど、縦の変化の方が有効だと思います。決勝トーナメントへ向けて教訓になるのではないでしょうか。

 全体的には序盤に逆転し、中押し、ダメ押しと完璧に近い試合運びでした。決勝トーナメントで初めて対戦する国を見ても、宿敵の韓国は決勝で日本と球史に残る接戦を演じた2009年WBCをピークにパワーダウンしていますし、米国も現役メジャーリーガーが参加しているわけではない。侍ジャパンには、普通のことを普通にこなせば、金メダルを十分勝ち取れる力があると思います。独特の緊張感との戦いが続きますが、心から成功を祈ります。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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