日ハムの大誤算 打線の中心に開いた“大穴”…中田&大田は大不振、清宮は停滞

日本ハム・中田翔(左)と清宮幸太郎【写真:石川加奈子】
日本ハム・中田翔(左)と清宮幸太郎【写真:石川加奈子】

チーム打撃成績はほとんどの部門でパ・リーグ最下位

 五輪によるシーズン中断を30勝42敗9分、首位オリックスから10ゲーム差の最下位で迎えた日本ハムの“誤算”は、打線に空いた大穴と、そこを埋める若手が育っていなかったことに尽きる。現在チーム打率.232、46本塁打、248得点はいずれもパ・リーグ最下位。他にも688三振、出塁率.312、長打率.338とリーグ最低の攻撃成績が並ぶ。

 栗山英樹監督は就任した2012年、当時5年目だった中田翔内野手の4番固定を明言、実行してきた。中田も期待に応え、その年のパ・リーグ優勝や2016年の日本一に大きく貢献。昨季も打率こそ.239ながら、自身最高の31本塁打を放っており、まだまだ主砲としての役割を果たしてくれるはずだった。

 それが今季は開幕から大不振。開幕早々にはベンチ裏で転倒し、目の周囲を大きく腫らす事件もあった。5月17日には体調不良を理由に1軍登録を抹消。負傷以外での抹消は、栗山監督が就任して以来初めてだった。さらに1軍に戻って間もない6月8日には、阪神戦で急性腰痛を発症し、翌9日に2度目の登録抹消。前半戦の1軍成績は39試合で打率.193、4本塁打13打点という寂しいものだった。

 さらなる誤算は、本来なら中田の穴を埋めるはずの4年目・清宮幸太郎内野手が、1軍戦力に育ち切っていなかったことだ。入団してから毎年、体調不良や負傷などでキャンプを満足に送れずにいた清宮は、昨季初めて1軍に1年間帯同し続けたものの成績は90試合で打率.190、7本塁打にとどまった。

 逆に今季は開幕から1度も昇格がなく、残した成績は2軍で打率.197、10本塁打、長打率.385にとどまる。これは1年目の2018年、2軍戦わずか45試合の出場で残した打率.244、17本塁打、長打率.606という成績にすら遠く及ばない。同世代のヤクルト村上が1軍の中心打者に成長する中、ドラフトで7球団が競合という入団前の評価を考えれば伸び悩みの感をぬぐえない。

 打線の迫力不足には、大田泰示外野手の不振も響いている。巨人から移籍5年目の大田は今季、59試合で打率.212、3本塁打という不振だ。6月11日のDeNA戦を最後にスタメン落ちし、同25日には1軍登録を抹消された。過去4年は毎年2桁本塁打を記録し、一時は強打の2番打者として栗山采配のキーマンとなってきた選手。抜擢された淺間大基外野手、高浜祐仁内野手らはまずまずの働きを見せているが、打線の迫力不足を解消するには至っていない。

 近年の日本ハムは、戦力の新陳代謝をうまく果たしてきた。FAやトレードで主力選手がチームを去ることが他球団より多くとも「スカウティングと育成で勝つ」という球団方針のもとで腕を磨いた選手たちが代わる代わるその穴を埋めてきた。そのサイクルにほころびが見え、変わる手段が見つかっていないという印象だ。

(Full-Count編集部)

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