侍ジャパン、米国戦の勝因は? 元代表スコアラーが読み解く「最大のポイント」

2回無失点と好投した侍ジャパン・千賀滉大【写真:Getty Images】
2回無失点と好投した侍ジャパン・千賀滉大【写真:Getty Images】

「タイブレークになると豊富な投手力と小技の精度が生きる」

 千賀が2イニングを抑えたお陰で、延長10回まで守護神の栗林良吏投手(広島)を取っておくこともできました。無死一、二塁という絶体絶命の状況から始まるタイブレークで、無失点で帰ってくることができたのは、栗林だからできた芸当です。球種は概ねストレートとフォークだけですが、いずれも一級品のため、米国の打者は狙いを絞ることができませんでした。

 タイブレークとなると、侍ジャパンは豊富な投手力とともに、小技の精度が生きます。米国が5番のフレージャーから始まったこともあって、無死一、二塁のチャンスから強攻を繰り返すしかなかったのとは対照的に、侍ジャパンは先頭の代打・栗原陵矢捕手(ソフトバンク)が今大会初打席にも関わらず、初球でバントを確実に決めて甲斐のサヨナラ打に繋げました。

 米国は延長10回に1死二、三塁とされると、中堅手のロペスを内野に回す“内野5人シフト”を敷いて一か八かの賭けに出ましたが、小さな事を着実に積み上げた日本に勝利の女神が微笑む結果となりました。まさに“スモール・ベースボール”の勝利だったと思います。苦しみながらも大きな勝利を掴んだことで、金メダルが見えてきたといえるのではないでしょうか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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