劇的勝利も侍Jに残った課題 元代表スコアラーが語る田中と青柳が打たれた原因

国際大会で有効とされていたサイドスローだが、三井氏は「アドバンテージを期待できない」

 青柳の投球に対して、三井氏は「これまでの国際大会では、サイドスローやアンダースローの投手が有効で重宝されてきましたが、最近は米国にも変則的な投法の投手が増え、それほどのアドバンテージを期待できなくなりました。もともと青柳は力投型の投手で、どの球種を投げてもそれほど大きな球速差はない。かつて国際大会で活躍した潮崎哲也氏(元西武)、渡辺俊介氏(元ロッテ)のような外国の打者が嫌がる緩い変化球はありません」と分析する。

 特に左打者にとっては、右サイドスローの青柳はボールの出どころが見やすい。カサスは7月31日の韓国戦でも、右サイドスローのコ・ヨンピョから右翼スタンドへの2ランを放っていた。準決勝以降、青柳の使いどころとすれば、右打者が並ぶところが主になるかもしれない。

 また、この日は今大会3試合目にして、梅野が初めて先発マスクをかぶり、サヨナラ打を放った甲斐は9回からの途中出場だった。三井氏は「主戦捕手はあくまで甲斐だと思います。米国ともう1度対戦する可能性があることを考慮して、目先を変えたのではないか。甲斐の体力的、精神的な負担を軽減する狙いもあったかもしれません」と見ている。

 ドミニカ共和国戦に続いて土俵際まで追い込まれた侍ジャパンだが、最後の粘り腰で無敗のまま白星を3つ重ねた。「野手は軒並み打撃好調で、乗り遅れていた4番の鈴木誠也外野手(広島)も初ヒットを本塁打で飾った。準決勝以降もかなりの得点力を期待していいと思う」と三井氏。悲願の金メダル獲得へ向け、残る課題と大願成就の鍵は、投手を含めたバッテリーにあると言えそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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