侍ジャパン、金メダルの裏に“2年前の成功” 専門家がうなった「チーム作りの妙」

「稲葉監督の野球を理解しているメンバーを軸に構成したからこそ」

 稲葉監督が率いるチームカラーを飯田氏は「選手個々が自分の役割を把握し、着実にこなしていた。2019年のプレミア12で優勝し、稲葉監督の野球を理解しているメンバーを軸に構成したからこそ。チーム作りの妙だと思います。新しく入ってきた選手たちにも、従来のメンバーを通して監督の方針が伝わっていると感じました」と見る。2008年の北京五輪に選手として参加し、メダルなしの屈辱にまみれた指揮官の「五輪の借りは五輪でしか返せない」というリベンジの思いも相互理解が進んだナインに浸透していたのだろう。

 大会MVPには全5試合で1番打者を務め、打率.350と活躍した山田が選出された。確かに山田や、リードと打撃の両方でチームを牽引した甲斐拓也捕手(ソフトバンク)の貢献度も大きいが、飯田氏は栗林良吏投手(広島)をMVPに挙げる。

 栗林はこの日も2点リードの9回に登板。2死かアレンに右前打を許したが、ロペスを二ゴロに仕留めて5投手による完封リレーの最後を締めた。今大会全5試合に守護神として登板し、2勝3セーブ。飯田氏は「新人で日の丸を背負い最後を守り切るのは、並大抵の重圧ではなかったはずです」と称えた。

 2024年パリ五輪で野球は正式競技から除外されるが、侍ジャパンが成し遂げた金メダル獲得は永遠に歴史に残る。飯田氏は「日本野球のレベルの高さを実証し、これからを担う子供たちに夢を与えてくれた。稲葉監督に『ありがとう』と伝えたい」と感慨深げに述懐した。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY