「的が絞れない」敵将も脱帽 西武20歳右腕に感じる底知れないポテンシャル
「味方の攻撃のリズムをうまく生み出せなかったのが反省点」
2点リードで迎えた4回には、1死からデスパイネの右前打を右翼手の川越が後逸し、得点圏の二塁に走者を置いた。それでも、中村晃をスプリットで遊ゴロ、アルバレスを外角高めのスライダーで左飛に打ち取り、粘り強さを見せた。ピンチにも表情ひとつ変えない度胸の良さが頼もしかった。
5回は初めて3者凡退で終え、この回限りで降板に。プロ初先発は5回76球、この日も69球に止まったが、まだ余力を感じさせる。辻発彦監督は「まだ行けたとは思うけれど、暑くて汗をかいていたし、下半身にちょっと張りもあったみたいだから」と降板理由を説明。少しずつイニング数を増やしながら、慎重に先発ローテの軸へ育てていくつもりなのだろう。
渡邉自身は「自分の仕事に集中して、とにかくゼロで抑えようという気持ちでした」と笑みを浮かべ、一方で「ストライクとボールがはっきりしていましたし、3者凡退で抑えることができたのは最後の5回だけで、味方の攻撃のリズムをうまく生み出せなかったのが反省点。次はその点を意識して調整し、もっと長いイニングを投げたいです」と課題を挙げた。
今季の西武は故障者続出で5位低迷中だが、高橋光成投手、今井達也投手に続き、この若武者が一本立ちするなら、非常に意義深いシーズンになる。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)