メラド帰還の日本ハム木村へ 西武の野手転向組・川越が送った“無言”のエール
木村は7回1死二、三塁で右犠飛、右翼・川越の渾身バックホームは実らなかった
投手から野手に転向し3年目の川越にとって、木村は希望の象徴だ。木村自身、2006年高校生ドラフト1位で投手として西武入りし、通算41試合1勝4敗の実績があるが、故障もあって6年目の2012年に野手転向。定位置を確保し、さらに三十路を越えた昨季、辻監督に「打撃が成長した」と言わせたほど、ひたむきに野球に取り組んできた。
その木村と川越の間に火花が散ったシーンもあった。日本ハムが1点リードして迎えた7回、それまで3打席凡退していた木村は1死二、三塁で第4打席へ。西武のギャレットが投じた156キロの速球を叩き、右翼の定位置付近へ飛球を打ち上げた。タッチアップで本塁へ突入する三塁走者・近藤に対し、右翼の川越は勢いをつけてキャッチし渾身のバックホーム。判定はセーフ。辻監督がリクエストしリプレー検証が行われたほど微妙なタイミングだったが、判定は覆らず、木村が貴重な追加点をもぎ取った。川越は思わず膝をついて天を仰いだ。この1点が流れを決定づけ、試合は日本ハムが7-2で勝った。
プロ野球界にトレードは付き物だが、元チームメート同士の熱い思いの交錯が、試合をより味わい深いものにする。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)