ピラミッドとスフィンクスに囲まれてのプレーボール… MLB公式が驚きの歴史を紹介

ピラミッドと記念撮影する選手たち【写真:Getty Images】
ピラミッドと記念撮影する選手たち【写真:Getty Images】

1889年、野球を米国外に広めるための大遠征

 これまでに野球が行われた最もクレイジーな場所というと、どんな所を思い浮かべるだろうか。MLB公式サイトがそんな特集記事を掲載した。「航空母艦を思い浮かべる人もいれば、アラスカの白夜やアイオワのトウモロコシ畑を思い浮かべる人もいるかもしれないが、1889年に行われた場所を超えることはできないだろう」としている。

 どこかと言えば、“世界七不思議”とされるエジプトのピラミッド前だ。MLB公式は「1889年、それは本当に起こった」というタイトルで伝えている。

 記事によれば1889年2月9日、シカゴ・ホワイトストッキングス(現在のカブスの前身)がナショナルリーグ・オールスターチーム「オールアメリカズ」を相手にエジプトのギザ大ピラミッド前で試合を行った。ホワイトストッキングスの幹部で、有名な運動具商だったアルバート・スポルディングが海外に野球を広めるために行った、数か月間に及ぶツアーの一環だ。エジプトの他にもニュージーランドやスリランカ、イタリア、フランス、豪州を訪れた。

 アメリカ野球学会の研究によれば、選手はラクダやロバを使って試合会場まで移動した。カイロのホテルから午前中を使って会場まで移動、昼過ぎに到着し写真撮影ののちに試合を行った。ダイヤモンドは砂漠の中に用意され、ナイル川の土手の芝が外野フィールドになるという、何ともスケールの大きなフィールドが生まれた。ホームベース後方にピラミッドがそびえ、スフィンクスが三塁線の先にいたという。地元民と旅行者、200人ほどがこの試合を見守り、オールアメリカズが勝利した。

 1889年というと、日本は明治22年。すでに野球というスポーツは伝来していたものの、プロチームなど影も形もない。そんな時代から野球を海外へ広めようとしていたとは、先見の明に驚かされる。

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