51年ぶり9月に単独首位浮上のロッテ 井口監督が自ら語る若手育成と優勝の鍵とは?

ロッテ・藤原恭大【写真:荒川祐史】
ロッテ・藤原恭大【写真:荒川祐史】

藤原、安田、山口に見る成長「若手3人がいい形で高め合っている」

 貯金を5つ増やせた8月は、中継ぎ陣が非常にしっかり頑張ってくれました。長いイニングを投げられる先発が少ないので、だいぶ負担を掛けてしまっていますが、リードされた展開でもゼロに抑えて試合の流れを引き寄せてくれる。打線は変わらず好調で、負けていても最後に試合をひっくり返せる強さがあります。勝てなくても引き分けに持ち込めた試合が数々ある中、ここからは負けないことが大事なポイントになってくるでしょう。

 102試合を終えて、チーム得点が462でチーム防御率は3.93。打線ができるだけ好調を維持し、投手陣がチーム防御率をもう1点押さえられれば、数字上では勝ち星を重ねられるはずですが現実はそう甘くなさそうです(笑)。

 打線はトップの荻野と3番の中村が打率3割前後をキープし、マーティンとレアードが打点を重ねる形が定着してきました。そこに加えて、8月は若手の頑張りが光りました。特に(藤原)恭大が2番に入ると繋ぐこともできるし、一発も期待できるなど、攻撃に幅が増すので大きい。エチェバリアの怪我で出場機会が増えた安田は、スタメンに戻ってからバットが良く振れていますし、2人に刺激された山口もいい。この若手3人がいい形で互いを高め合っています。

 若手3人に関しては、本来は開幕当初から今のような高め合いながら成長する効果を期待していました。でも、なかなか思い通りにいかないのが育成です(笑)。スタメンを外したり、2軍で調整させたりしながら、ようやく3人がスタメンで出られる状態になり、来年以降の形も朧気に見えてきました。

 選手を入れ替えるタイミングを図るのは非常に難しいものがあります。どこでスタメンや1軍登録を外すか。どこで2軍から引き上げるか。どの場面で使うか。これは監督就任以来、2軍監督と連携しながら決めています。今年に関していえば、鳥越(裕介)2軍監督と話をして、選手を2軍へ送った段階からどういう使い方をして、どういうタイミングで、どのくらい調子が上がったら1軍へ戻すか、道筋を立てて準備をしてもらっています。

 4月下旬に恭大を2軍へ送った時は、打撃の調子が上がり始めたら1軍に上げましょうという話をしていたのが、ピタリとハマった形になりました。山口に関して言えば、2軍で状態が上がってきたので、五輪期間中のエキシビジョンゲームで試したところ、しっかり結果を出してくれたので、そのまま1軍登録。今はレアードが一塁を守っているので、山口を右翼、DHで併用しています。

 安田は1軍登録こそ外れていませんが、エチェバリアの加入で藤岡(裕大)が三塁を守るようになり、出場機会が減りました。それでも腐ることなく打ち込みに励んだ結果が、今の好調に繋がっている。ベンチから藤原や山口が活躍する姿を見て悔しい想いもしたでしょうが、成長に繋がるいい時間になったのではないかと思います。

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