首位打者狙うオースティン、新人王狙える牧… 越えなければならない“壁”とは?
新人初のサイクル安打達成も、チーム内の定位置争い激化
一方の牧はこれまで、新人王と考えると阪神の佐藤輝明内野手に印象度で大きく水をあけられていた。ただ8月25日の阪神戦で、新人としては史上初のサイクル安打を達成、さらに佐藤輝が打撃不振で2軍落ちしたこともあって、チャンス到来だ。13日現在、打率.276、16本塁打、52打点をマークし、佐藤輝の.254、23本塁打、60打点に決して引けを取らない。広島の守護神として防御率0.47を誇る栗林良吏投手を含め、新人王争いの行方は予断を許さない。
三浦大輔監督は「まだルーキーなので、覚えていかなければいけないことがたくさんあるが、試合に出ながら成長してくれています」と評するものの、常時出場を保証されているわけではない。12日の阪神戦では、5試合ぶりにスタメンから外れた。7回から一塁の守備に就いたが、1打数無安打に終わっている。
シーズン前半が終わろうとする頃から、2年目19歳の森敬斗内野手が台頭し、大和内野手、柴田竜拓内野手と遊撃の定位置争いが激化。その結果、大和や柴田が二塁で先発することもあり、牧はあおりを受けている格好だ。牧は本職の二塁の他、一塁も守れるが、ここには貴重な長距離砲のネフタリ・ソト内野手がいて、スタメン出場は難しい状況だ。
「ベテランの大和は、出たり出なかったりだが、常に怠りなく準備をしてくれている。そういう姿勢を若い選手たちが見て学んでいる」と三浦監督。牧としては、与えられた出場機会を確実にものにし、「今年しかないので狙っていきたい」と明言する新人王獲得へつなげたいところ。タイトルに近い位置にいる2人をはじめ、DeNA打線には見どころが詰まっている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)