高校通算70発の千葉学芸・有薗直輝 スカウトが本塁打よりも評価した点は?
春季千葉大会はボールを受けた目が腫れた状態でプレー、優勝に貢献
今年の千葉春季大会でよく口にしていたのが「新たな歴史を作りたい」。言葉通り、千葉学芸は春夏秋通じて初の千葉県制覇を達成したが、その道のりは苦難に満ちていた。市柏との2回戦で、腕に受けた死球が跳ね返り、左目に当たった。目は腫れ、鼻は曲がり、その試合は途中交代した。それでも次の3回戦からは強行出場。会場を驚かせたのは準々決勝の中央学院戦だった。
2打席目。打球は弾丸ライナーで、ゼットエーボールパークの外野スタンドに消えていった。目が腫れた状態で試合後の会見に応じ、「まだ見にくいですが、自分のスイングができました」と答え、記者を驚かせた。
この日、スカウトが評価したのは本塁打よりも野球に対する姿勢だったという。高倉監督が明かす。「第1打席は三塁ゴロだったんですけど、一塁まで全力疾走して飛び込んだんです。その姿を見ていたスカウトさんが、高く評価してくださいました」。高校野球で全力疾走は当たり前のことかもしれないが、全力プレーを怠らない姿勢にスカウトは二重丸をつけたようだ。
スカウトも惚れ込むほどの野球への情熱を持った有薗は、日本を代表する打者になることを目標に掲げる。「選ばれてからが勝負なので、技術も人間性も磨いていきたいです」。千葉学芸の歴史を変えた男が、次は上の舞台で歴史を作る。
○有薗直輝(ありぞの・なおき)
2003年5月21日、千葉県旭市生まれ。185センチ、97キロ。右投右打。内野手。小学2年時に干潟メッツで野球を始め、6年時にマリーンズジュニアに選出。中学では佐倉リトルシニアに所属した。千葉学芸高では1年春から右翼で4番を務めた。投手も兼任し、2年秋には背番号1を背負った。3年時には3番・三塁で出場。春には千葉学芸初の県大会優勝に貢献。高校通算70本塁打。