平日は7人で練習、週末は移動で2時間半… プロ目指す2人の国立大理系右腕の歩み
井手「自分の意識を変えれば能力は伸ばせる」
浜松キャンパスでは投球練習ができない分、石田はキャッチボールを大切にしてきた。投球と同じように体全体を使い、体重移動を意識して1球1球丁寧にボールを投げる。日々の練習から目標を具体化、数値化し、ストレートの球速は150キロを掲げた。現在の最速は148キロまで上がり「自分でしっかりと目的意識を持って練習すれば、力がつくことを証明しようと思って4年間やってきた」と話す。
井手はSNSで発信されているトレーニングから自分に合った内容を選び、自身のメニューに加えている。高校時代は長距離のランニングが多かったが、球速を上げるにはダッシュと体のバネを意識したトレーニングが必要だと考えた。陸上部の友人に話を聞いて、個人練習のメニューに取り入れた。
高校3年生の夏に最速133キロだったストレートは、4年間で148キロまでアップ。プロ野球のスカウトが視察するレベルに達し「自分の意識を変えれば能力は伸ばせる。プロを目指せるところまで頑張ることを大学の1つの目標にしていた」と語った。
そして、石田と井手が4年間、難しい環境で努力し続けられたのは互いの存在がある。石田は「同級生の井手が高い意識でプロを目指していたので負けずにやろうという気持ちだった」と、ここまでの歩みを振り返る。
2人とも育成指名であっても「プロに行きたい」と覚悟を口にする。場所、人数、時間。限られた条件で着実にステップアップしてきた石田と井手は、次のステージに進めるのか。吉報を待つ。
(間淳 / Jun Aida)