引退決めた鷹・長谷川勇也 勝利への執念を示した語り継がれるべき2つの“ヘッスラ”

グラウンド上で感情をむき出しにするキッカケになった2011年の日本一

 このプレーの直前。長谷川はライトの守備で見事なスライディングキャッチを見せ、ロッテの追加点を防いでいる。長谷川の好守に渡る熱血プレーで勢いづいたソフトバンクは、この試合を11対5と圧勝。長谷川自身も第2戦で3安打3打点、第3戦でも1打点を挙げ、開幕3連勝を飾った。特筆すべきはこのプレーが試合の終盤ではなく、初回のプレーということだ。開幕戦ならではの高揚感はあったにせよ、長谷川の勝利に対する執念が垣間見られた瞬間だった。

 その年の9月、長谷川は本塁突入で右足首を負傷し、その後のプレーに大きな影響を及ぼすことになった。それでも、野球に対する求道心を失うことなく努力を続け、プロ通算1108本の安打を放った。その中の1本であるこの根性のタイムリー内野安打も、長谷川らしさを凝縮した1本だと言えるだろう。

 長谷川は2013年に首位打者(打率.341)、最多安打(198安打)のタイトルを獲得した。その年はほかにも交流戦MVP、2度の月間MVP(6月、9月)、ベストナインなどを獲得している。好調さもあってか、塁上で素直に感情表現することが増えてきたのもこの年だ。そのことについて、シーズン中盤に長谷川に話を聞く機会があり、長谷川は「2011年の日本一を経験したから」と語っていた。

「この1勝が優勝につながると思うと、自然とガッツポーズが出るようになりました」

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