監督・栗山英樹の“功と罪” 大谷翔平の二刀流、中田翔の放出…若手の開花促す言葉も
後半5年間の苦闘はなぜ? 不可解なこだわりや育成方針のブレ
物事には功と罪の両面がある。上手く行っている時期には“功”と見られたことも、一度歯車が狂うと“罪”と扱われるようになる。
栗山采配は、当初は柔軟性に富んでいた印象が強い。たとえば2012年の開幕当初、主力だった稲葉篤紀外野手を2番に置いた。強打者を、より打席の回る2番に置くという現在の流れに近い起用をしていた。ただ上手くいかないとなると数試合でこれを撤回、元のクリーンアップに戻した。新しいことと、現実の折り合いをつけようとしていた。
ところが、監督生活の後半になると、硬直化したようにも見える。例えば2019年に導入した、先発投手を短いイニングで降板させる「オープナー」だ。起用された投手から戸惑いの声が上がり、数字から勝利に結びついていないことが明らかになってからも、この作戦にこだわり続けた。
また2018年に入団してきた清宮幸太郎内野手は3年目の昨季、打率.190、7本塁打という成績ながら1年間、一度も2軍に落とさず使い続けた。一方で今季は、1軍の打線が手薄な状況にも関わらず一度も昇格がなかった。今季の2軍成績は打率.199、19本塁打。同期の村上宗隆内野手(ヤクルト)とは大きな差がついた。育成方針のブレとみられても仕方がないだろう。
そして、変わらないことの“弊害”とも言える部分が見え隠れするようになった。4番に据え続けた中田は、数字の浮き沈みがありながらも主砲として君臨。存在が大きくなりすぎたのか、今年8月には同僚選手への暴力が明らかになり、球団から無期限の謹慎処分を受けた。謝罪もないまま巨人に放出した不可解な過程については、世間から疑問の目が向けられた。
日本ハムのチーム成績を見ると、ここ2年は失策がリーグ最多。かつて堅守を売りにして勝利を重ねたチームの面影は、どこにもなくなっている。さらに2019年以降はチーム本塁打が最低と、打力でカバーすることもできなくなっていた。戦力構成上の問題があるにせよ、指揮官として苦境を打開する手を繰り出せなかった現実は残る。様々な試みで世間を驚かせた“新しすぎる”指揮官は、後世にどのように評価されるのだろうか。
(Full-Count編集部)