批判の声を「跳ね返す力がなかった」「心が折れた」 松坂大輔が口にした“本音”

引退会見に臨んだ西武・松坂大輔【写真提供:西武ライオンズ】
引退会見に臨んだ西武・松坂大輔【写真提供:西武ライオンズ】

「たくさんの方にも迷惑かけてきましたが、諦めずにここまでやってきた」

 西武の松坂大輔投手は19日、引退試合となる本拠地での日本ハム戦を前に会見を行った。強靭なメンタルと剛腕でNPB、MLBで名勝負を演じてきた右腕は、最後の最後で「非難を力に代えて跳ね返してやろうとやってきましたが、最後はそれに耐えられなかった」と本音を口にした。

 ルーキーイヤーから16勝を挙げ最多勝、新人王を獲得し華々しいデビューを飾ったが、選手生活の後半は怪我に泣かされ思った成績を残せなかった。会見でもプロ生活23年間で170勝をマークしたことを振り返り「長くやった割には思ってた成績を残せていないなと思います。ほぼ、最初の10年でできた数字というか。自分の肩の状態は良くなかったですが、そこからさらに上乗せできると思っていた」と自身を振り返っていた。

 2016年に日本球界に復帰したがソフトバンクでの1軍登板はわずか1試合。2018年には中日で6勝をマークしたが、その後も右肩を痛めるなど登板機会は減少し、西武に復帰した2020年からも公式戦での登板はこの日の引退試合での1試合のみとなった。

 23年間のプロ生活で「自身を褒めるなら?」との問いには「選手生活も後半は叩かれることが多かったですが、それでも諦めずに、諦めの悪さを含めて。もっと早く辞めても良いタイミングはあったと思うし、思ったパフォーマンスが出せない時期が長く自分自身苦しかったが、たくさんの方にも迷惑かけてきましたが、諦めずにここまでやってきたと思います」と胸を張った。

 メジャー、そして日本球界に復帰する時には大型契約も注目の一つだった。期待の表れとも言えるが、やはりそこはプロの世界。結果が出なければ批判的な言葉が何度も飛び交った。これまで何度も困難を乗り越えてきた松坂だったが、右腕の痺れが最後まで取れなかった。

「叩かれたり非難されたりすることを力に代えて跳ね返してやろうとやっていましたが、やっぱり最後はそれに耐えられなかったですね。心が折れたというか、あとはエネルギーに代えられたものが、受け止めて跳ね返す力がもうなかった」

 プロ野球界を牽引してきた「平成の怪物」が涙の引退会見でこぼした本音。これまでの表に出さなかった苦悩が感じられた一幕だった。

(Full-Count編集部)

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