人工芝交換を要求…球団首脳も驚いた新庄監督の野球観 守備へのこだわりと自己犠牲
札幌ドームの芝張り替えを“直訴”して現実に
「バントのサインが出ないのにバントするというのは、罰金とは言わないですけど、実際にやる選手は少ないですよ。それを思い切ってできること自体、自分の気持ちをしっかり持っていたのだと思います。なんでバントしたんだと怒られるんじゃないかとか、打って目立ちたいとか、犠牲になるより個人成績を上げたいと思うのが普通の選手ですよ」
三澤氏がもう一つ驚いたのは、守備へのこだわりだ。契約時に補殺数をインセンティブに加えてほしいと希望する一方、実際に札幌ドームでプレーした後に芝を張り替えられないかと相談に来たという。「当時の巻き取り式の人工芝は薄くて、スタートを切る時に芝がズレて一歩目が滑ってしまう。キュッとうまくスタートを切れないので、守備で魅せられないということでした」。三澤氏が札幌ドームに交渉すると、当初6年で交換する計画だったため、あと2年待つ必要があった。だが新庄を含めた数人の選手と一緒に再び札幌ドーム側に改善を訴え、その年のオフに張り替えが実現した。
野球へのこだわりと実行力を知っているからこそ、三澤氏は新庄監督就任を歓迎する。「こんなに早くチャンスが来て、うれしいです」と満面の笑みを浮かべた。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)