逮捕から2年…「球団に恩返ししたい」 シュラスコを焼く元ヤクルト右腕の“夢”

看板メニューのシュラスコを運ぶ片山文男さん【写真:編集部】
看板メニューのシュラスコを運ぶ片山文男さん【写真:編集部】

苦い経験を生かして…アカデミーを作る夢「ビエイラみたいないい選手を」

 飲食店の経営は、人と触れ合うことの好きな片山さんがずっと思い描いてきたことでもあった。「日本語は話せないけど優秀な人がいる。チャンスを作ってあげたい」と外国人たちをスカウトして開店すると、コロナ禍の逆風もありながら、自分たちでシュラスコを勉強して肉を焼き続けた。今年の10月には専門のシェフが加わってメニューの幅も広がった。

 次のステップはお店をフランチャイズにすること。いずれは輸入スーパーもやりたいし、最終的には野球アカデミーを作って社会に還元したい。「夢がありすぎて……」と目を輝かせるが、コツコツと地道にクリアしていくつもりだ。まもなく3人目の息子も授かる予定で、「自分はいいことも悪いこともあったけど、息子たちには苦労させたくない」との思いも、片山さんを突き動かす原動力だ。

 そして、大きな夢もある。「育成で恩返しをしたい。(ブラジル出身の巨人)ビエイラみたいないい選手を紹介したい」。将来的には、野球アカデミーから今度は自分がプロ野球選手を送り出す番。「いい選手がいたら、ヤクルトにね(笑)」。そのためには、まず会社を大きくしていかなければいけない。自分の会社を「大会社にすることも恩返しになる」と、仕事で頑張ることを胸に秘めている。

 山あり谷ありの人生でいつも救われてきたのは人との出会いだった。来日して上下関係もわからなかったときに助けてくれた日章学園の中村好治監督(現・愛知啓成)、腐りかけていたヤクルト時代にアドバイスをくれた古田敦也氏。所沢グリーンベースボールクラブ時代には縁あって金田正一氏から指導を受け、クラブチームの日本一とMVPにも輝いた。

「基本をまずしっかりすること。一瞬のチャンスが絶対に来る。努力をしていれば不思議なことが起きるんですよ。野球があったからこそそれを覚えたんです」

 現役選手でもセカンドキャリアでも大事なことは同じ。現役の時には理解できなかったことを経営者になって痛感するようになった。37歳になった元150キロ右腕の挑戦はまだまだ始まったばかりだ。

(取材協力:PACE Tokyo)

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【実際の映像】飯テロ注意! 元ヤクルトの片山文男さんがシュラスコを捌くシーン

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