イチロー氏は「当たり前を疑っている」 指導受けた国学院久我山・尾崎監督が感じた驚き
「常識には囚われない、オリジナルを持たれている方だなと」
29日に国学院久我山高(西東京)を訪れ、野球部員82人に指導を行ったイチロー氏(マリナーズ会長付き特別補佐兼インストラクター)。指導を受けた同校を率いる尾崎直輝監督が驚いたのは、イチロー氏の“常識を疑う”姿勢だった。
走り方や打撃、さらには走塁面について指導を行ったイチロー氏。特に走塁面では、27日の日本シリーズ第6戦、3回に二塁走者だったヤクルトのオスナが、宮本のバント空振りで飛び出して刺された場面を例に出し、リードする際に両足で小さく跳ねる“シャッフル”について疑問を呈した。
「オスナはシャッフルによって、ストライクでバントするだろうと飛び出してしまった。ストライクだから(走者がアウトになっても)しょうがないと言われがちだけど、僕はそう思わない。空振りでも(帰塁できる)判断が、僕はできた方がいいと思う。空振りしても、戻れる体勢にならないといけない。その判断がシャッフルだと難しい」
こう生徒たちに語りかけると「僕は長く(現役を)やっていたけど、走塁だけは簡単にならない。動いていると(判断が)難しい。できるだけ静かにリードをとる。やりたがらない理由が見つからないプレー。(ただ)長い間やってきたことを変えることは難しい。自分で言い聞かせないとできない」と、自ら意識することの大切さも伝えた。
生徒たちと共にイチロー氏の話に耳を傾けていた尾崎監督。指導終了後に「『今までやってきたから、それが邪魔してない?』って言われて納得できたんですよね。やっぱり当たり前を疑っている。常識を疑いながら、イチローさんご自身でやりやすいように野球を変えてきて。あれだけの結果を残された方なので、そういう常識には囚われない、オリジナルを持たれている方だなと改めて思いました」と感嘆した。
練習中にも積極的に質問をぶつけたという尾崎監督は「質問をたぶんチーム1ぶつけたんですが、全部答えていただきました。『情報量多すぎない?』と言われたんですけど。全て僕の力になれば選手に還元できると思うし、選手たちが吸収、処理しきれない部分を私が一緒に聞いていることによって、今後も伝えられる、指導に生かせるのかな。新しい発見がありましたし、選手たちがやりやすいように僕は導いていくだけ」とも語り、イチロー氏の教えを受け止めていた。
(Full-Count編集部)