5位の日本ハムよりも王者オリックスが苦戦… データで見るパ球団の守備力は?

オリックス・中嶋聡監督【写真:荒川祐史】
オリックス・中嶋聡監督【写真:荒川祐史】

パ・リーグで「UZR」に最も優れていたのは楽天

 守備の名手に贈られる「2021年度 第50回三井ゴールデン・グラブ賞」が2日に発表される。個人で守備に優れた選手が選ばれる同賞だが、では、球団全体として今季、守備力が高かった球団、守備に苦しんだ球団はどこだったのか? セイバーメトリクスの指標などを用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを通じて検証してみよう。

 パ・リーグにおいて守備率、失策数でトップだったのはソフトバンク(守備率.989、57失策)。一塁手の中村晃、遊撃手の今宮健太、捕手の甲斐拓也らが各ポジションでリーグトップの守備率を誇っており、この数字になった。だが、守備指標の「UZR」で見ると、ソフトバンクはリーグで3位になる。

 この「UZR」でパ・リーグ1位となったのは楽天だ。守備率.988は最下位に沈んだ西武と並んで2位だった楽天だが、チームトータルの「UZR」は10.1で、セ・リーグの広島と並んで12球団トップだった。三塁の茂木栄五郎、中堅の辰己涼介、右翼の岡島豪郎がそれぞれ各ポジションで「UZR」のリーグトップを記録しており、守備に秀でていたことが分かる。

 一方、守備率と失策数でリーグワーストだったのは、5位の日本ハム(守備率.986、76失策)。ただ「UZR」は-6.5でパ・リーグ内では5位だった。この日本ハムよりも指標で劣ったのはリーグ優勝を果たしたオリックス。チーム全体の「UZR」は-10.9となっている。

 オリックスは三塁の宗佑磨がUZR11.9と上々だったものの、遊撃手の紅林弘太郎や左翼の吉田正尚、中堅の福田周平、右翼の杉本裕太郎と軒並みマイナス。吉田正と杉本はそれぞれのポジションでリーグワーストとなった。とはいえ、吉田正と杉本は球界屈指の打力を誇っており、守備面に拙さは仕方のないところか。

 今季パ・リーグを制することになったオリックスだが、守備面ではまだまだ改善の余地がありそう。セ・リーグを制して日本一になったヤクルトもセ・リーグでワーストの守備指標だっただけに、今季のプロ野球の勝者は「守り勝つ」野球とは縁遠かったようだ。

※11時49分、一部を加筆・修正しました。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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