ヤクルトOBが日本Sを回顧 「もう1人、MVP級の活躍をした選手」に挙げたのは?

ヤクルト・塩見泰隆【写真:荒川祐史】
ヤクルト・塩見泰隆【写真:荒川祐史】

賞はもらえなくても「評価してくれる人は必ずいる」

 打っては、6戦を通じ打率.250(24打数6安打)。中堅守備でも抜群の守備範囲と安定感を誇った。MVPのみならず優秀選手にも、ヤクルトからは第2戦で完封勝利を挙げた高橋奎二投手と、2本塁打のドミンゴ・サンタナ外野手が選ばれ、塩見の名前はなかった。しかし、塩見と同じくヤクルトの「1番・センター」として1990年代の黄金期を支えた飯田氏は、「チャンスメークが役割の1番打者は基本的に“脇役”。賞をもらえる機会は少ない。それでも見ている人は見ているし、評価してくれる人は必ずいます。もちろん、僕は塩見を間違いなく評価します」と語った。

「選手は日本シリーズを経験すると、スケールが大きくなります」と飯田氏。自身は高卒6年目の1992年、初めて日本シリーズに出場し、3勝4敗で西武に敗れたものの、優秀選手に選ばれている。「あれだけ緊張した中で野球をやることは本当に少ない。報道陣はめちゃくちゃ多いし、プロ野球で1年の最後を締めくくる試合ですから、雰囲気が全然違う。僕はその後、どんな試合に臨んでも“日本シリーズに比べれば大したことはない”と思えました」と振り返る。だからこそ「塩見にはこのシリーズを自信にして、来季以降も活躍を続けて、本当のレギュラーというか、長く『1番・センター』を張れる選手になってほしい」とエールを送る。

 昨季まで2年連続最下位のヤクルトが豹変し優勝できたのも、プロ4年目の塩見の急成長と1番定着によるところが大きかった。来季は改めて、連覇のキーマンとして真価を問われる。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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