西武・平良が惚れたオリ山本の練習法 東京五輪で学んだ球界最強右腕のエキス

東京五輪前の合宿では山本由伸(手前)とキャッチボールを行った西武・平良海馬【写真:荒川祐史】
東京五輪前の合宿では山本由伸(手前)とキャッチボールを行った西武・平良海馬【写真:荒川祐史】

「山本選手のように、支配的なピッチングができる投手に」

 23日に契約更改交渉を行い、5800万円増の年俸1億円でサインした西武の平良海馬投手。交渉後に行われた会見では、現状に満足することはなく「MVPを獲った山本選手(オリックス山本由伸投手)のように、支配的なピッチングができる投手になりたい」と目標を掲げた。(金額は推定)

 プロ4年目の今季は開幕から7月1日のソフトバンク戦(PayPayドーム)にかけて「39試合連続無失点」の日本記録を樹立。チームは42年ぶりの最下位に沈んだものの、62試合で3勝4敗21ホールド20セーブ、防御率0.90の圧倒的な成績を残した。当初はセットアッパーを務めたが、シーズン途中から増田の不振をうけてクローザーに転向。渡辺GMが「平良が出てきたら大丈夫という安心感を現場もファンの皆様も感じたと思う」と評した。

 夏には侍ジャパンの一員として金メダルを獲得。個人成績は2試合に登板して計1回1/3で2失点、防御率13.50と振るわなかったが、「いろんな選手の取り組み方を間近で学べたことは良かった」と前向きにとらえている。とりわけ、侍投手陣で最年少(当時21歳)だった平良が、並みいる先輩の中で“徹底マーク”したのが、直前合宿などでキャッチボールのコンビを組んだ山本だった。

 変化球の握りを教わり、山本独特の“やり投げトレーニング”もじっくり観察。先端にゴムの付いた競技用のやりを借りて自分でも試投してみた。「実際に投げてみて、力ではなく、なるべくいいポイントでやりを放すこと、同じ力加減で同じ距離を連続で飛ばすことを面白いと感じました」と納得顔だった。

 山本は金メダル獲得の原動力となった上に、シーズンでも最多勝、最優秀防御率、勝率1位、最多奪三振のタイトルを総なめにし、MVPにも選出された。ウイニングショットに偏らず、“持っている球種全てが一級品”のスタイルは平良にも通じるものがある。高卒1年目のオフから菊池雄星投手(マリナーズからFA)に弟子入りするなど、惚れ込んだ先輩からは貪欲に吸収する平良。来季も山本の背中を追い続けるはずだ。石垣島の怪童はいったどこまで大きな選手に成長していくのだろうか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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