イラ立つ選手「カメラ回すな」 戦力外選手を追う人気番組が寄り添う現実と苦悩

28日放送の「プロ野球戦力外通告」に出演する元ソフトバンク・川原弘之、元楽天・牧田和久、元阪神・高野圭佑(左から)【写真:藤浦一都、荒川祐史、中信兄弟提供】
28日放送の「プロ野球戦力外通告」に出演する元ソフトバンク・川原弘之、元楽天・牧田和久、元阪神・高野圭佑(左から)【写真:藤浦一都、荒川祐史、中信兄弟提供】

選手に密着した元担当ディレクターが明かす心苦しい瞬間

 2021年も、多くのプロ野球選手が現役生活の岐路に立たされた。引退という決断もあれば、トライアウトを受験して再起を目指す選択肢も。そんな彼らの姿を追ったTBS系の「プロ野球戦力外通告」が、28日午後11時から放送される。今年は元楽天・牧田和久投手や元ソフトバンク・川原弘之投手、元阪神・高野圭佑投手に密着。心の機微を丁寧に描く人気番組の舞台裏には、心苦しい瞬間もある。

 戦力外を受けてからの日々を、四六時中カメラを回しながら記録する。寝食を共にすることも多く、家族の一員となって一喜一憂。一日中、一緒に映画を観ていたこともある。取材者でありながら、伴走者でもある立場。「選手たちは、本当に最後まで諦めないんです」。2016年から5年間、番組のディレクターを務めた山田邦風(くにかぜ)さんは、直近で胸を打たれてきた。

 ただ、NPB球団に“再就職”できるのは、ほんの一握り。トライアウトから一日、また一日と経過していくほどに、選手の表情は曇りがちになっていく。社会人や独立リーグ、クラブチームを含めても1本も電話がなかったある選手は、4日目にイラ立ちを見せる場面もあった。

「3日経ってもかかってこないのに、なんで同じようなことを聞くの? もうカメラ回さないでくださいよ」

伝えるのは“不幸”でなく“強さ”…「気づいたら、泣きながら編集作業を」

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