外れ1位で5球団競合から5年… 飛躍遂げた佐々木千隼が最後に流した悔し涙

負ければ優勝を逃す試合で今季唯一の黒星「野球人生で一番悔しかった」

 充実の1年になったかと思われたが、後味は悪かった。「野球人生で一番悔しかった試合です」と振り返るのは10月27日の楽天戦(楽天生命パーク)。負ければオリックスの優勝が決まる試合で、1-1の8回からマウンドに上がった。それまで負けなしだった右腕には、積み重ねてきた自信があった。いつも通り淡々と投球練習を終え、楽天打線と対峙する。

 先頭の島内に投じた初球は一、二塁間に転がる。二塁手の中村奨が飛びついて送球するも惜しくも間に合わず内野安打に。それでも冷静だった。「慌てることなくいこうと思っていました」。その後、送りバントと申告敬遠で1死一、二塁で打席に代打・小深田を迎えると、カウント1-2から投じたシンカーを右前に運ばれた。二塁走者が生還し、勝ち越しを許してしまった。マウンドに上がってから失点するまで、わずか6球だった。

 9回表、ベンチから味方の逆転を信じたが、思いは届かず、今季54試合目で初めて負けがついた。「優勝できないことが決まってしまって、点を取られた悔しさ、不甲斐なさもありましたし、いろんな感情がありました」。試合後にはクールな男が人目もはばからず大粒の涙を流した。

悩まされた怪我を克服し54試合に登板「4年間で学ぶこともできた」

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