人気の“戦力外番組”に身構える選手も… 制作者が報われた家族の言葉と番組の意義

「プロ野球戦力外通告」担当ディレクターが忘れられない言葉とは…(写真は18年のトライアウトの様子)【写真:福谷佑介】
「プロ野球戦力外通告」担当ディレクターが忘れられない言葉とは…(写真は18年のトライアウトの様子)【写真:福谷佑介】

TBS系の人気番組「プロ野球戦力外通告」、最も難しい出演交渉

 年末恒例となっているTBS系の人気番組「プロ野球戦力外通告」が、28日午後11時から放送される。18回目を迎える今年は、元楽天・牧田和久投手や元ソフトバンク・川原弘之投手、元阪神・高野圭佑投手に密着する。昼夜問わずカメラを回し続けるドキュメンタリーで、最も困難を極めるのが出演交渉。端から難色を示されるケースがある一方、取材を受ける“価値”を見出す選手も少なくない。

 各球団から戦力外が発表された直後、通告を受けた選手のもとに直接出向くところから交渉は始まる。「すぐに動き出して、球場で待ち構えて声をかけるのですが……。ここが一番大変です」。昨年まで5年間にわたって5選手を取材してきたディレクターの山田邦風(くにかぜ)さんは、断られてきた数々を思い出す。

 球界では知らない人がいないほど有名になった番組。妻や子どもも出演する内容まで把握されている。「戦力外になった直後、奥さんと『あの番組から(オファー)来たらどうする?』と話し合う選手も多いようで……」。打診をする前に、すでに“NO”という結論に至っていることも。取り付く島がなければ、諦めるしかない。

 選手の妻は一般人の場合が多く、テレビに出演するのを嫌がる気持ちも理解できる。ただ、番組の意義も伝える。戦力外からトライアウトまでの期間を記録だけでなく、歩んできた現役生活も丁寧に描く。たとえ再起が叶わずに引退の道を選んだとしても、映像が“プロだった証し”として残る。そんな思いに共感してくれた家族がいたからこそ、長年番組は続いてきた。

「夫の野球人生を描いてくれる番組なので、取材を受けようと思いました」。2018年に元ヤクルト・古野正人氏にオファーした際、右腕の愛妻がくれたひと言を山田さんは忘れない。取材者として救われたのと同時に、背筋を正されるような言葉だった。

 過去5年間で担当した選手たちは、誰もNPB復帰は果たせなかった。それでも放送後に連絡すると、「取材を受けて良かった」と決まって言ってくれた。選手やその家族から得る信頼と、お茶の間に届けたい思い。その両輪が、視聴者を惹きつけている。

番組公式ツイッター:https://twitter.com/tbs_senryoku?s=21

番組公式サイト:https://www.tbs.co.jp/senryokugaitsuukoku/

(小西亮 / Ryo Konishi)

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