MLBからアジア行き続々のワケは? ロックアウトや“出戻り”成功の前例増加も

楽天入りしたクリス・ギッテンス(左)とソフトバンク入りしたフレディ・ガルビス【写真:Getty Images】
楽天入りしたクリス・ギッテンス(左)とソフトバンク入りしたフレディ・ガルビス【写真:Getty Images】

クリス・ギッテンスは楽天、フレディ・ガルビスはソフトバンク入り

 メジャーリーグは、MLB機構とMLB選手会での労使交渉がまとまらず、ロックアウトが続いている。全ての施設が閉鎖され、移籍等の交渉も凍結されている状況だ。CBSスポーツは、この期間に著名なFA選手が続々とアジア行きを決めている現状について解説した。

 ロックアウト中の現在、移籍報道はNPBやKBO入りのものが続く。クリスマス休暇の週だけでもリオ・ルイスが韓国・LGツインズに、クリス・ギッテンスが楽天と契約した。ソフトバンクが獲得したフレディ・ガルビス、韓国・キウム入りのヤシエル・プイグ、SSGランダースのイバン・ノバらを挙げ「アジアに旅立つ選手のリストはどんどん増えており、パイレーツの元トッププロスペクトであるグレゴリー・ポランコも日本の球団との契約が近いという報道が出ている」と説明した。

 ならば、ロックアウトが春まで続けばさらに大物が移籍するのか。それには、あるアジアリーグのスカウトの話として「そうなるかは実のところよく分からない。でも私にはいくぶん『通常通り』に見える」という。同スカウトは「アジアに向かうほとんどの著名な選手には酌量すべき状況がある」としており、プイグの女性への暴行疑惑、ガルビスは2年総額740万ドル(約8億4000万円)とメジャーで得られたであろう契約よりも高額であることを挙げている。

 またルイスやギッテンスらアジア行きを決めた選手の多くは「ロックアウトがなくてもメジャーを離れていたかもしれないタイプの選手だ」と分析。ロックアウトの影響でMLBの移籍市場が動いてないから目立っているのだとみている。また田中将大や菅野智之ら「アジアからメジャー」という逆方向の動きがないことにも注目している。

 ある代理人の話として「ロックアウト後の移籍市場がどうなるか、その不確かさこそが、海外に向かう選手が増える最も明らかな理由だ。市場のトップに位置するFA選手には獲得しようとする(MLB)球団が出てくるが、境界線上の選手には保証がない。だからより多くの選手が安心を求めている」とアジア行きが続出する理由を述べた。

 MLBのオーナー陣が選手の年俸を抑えるために結託していた1987年、MLBでオールスター出場も果たし、新人王にも輝いたボブ・ホーナーがヤクルトと1年契約を結んだ。ホーナーは「ロサンゼルス・タイムズ」に「日本の球団が声をかけてきて、良いオファーを提示してきたんだ。その時点までは1年丸々出場を辞退するつもりでいた」と語っている。

 しかし今は、NPBやKBOに向かう選手はホーナーがヤクルトと契約したときと同じようなリスクを背負うことはない。多くの選手が海外にいる間に株を上げ、MLBに戻っていることもあり、前出の代理人は「球団が取得できる海外の選手の情報やデータはかつてないほどに膨大になっている。自分の能力に賭けて日本かどこかへ向かうこと、そして米国でのオファーの倍以上稼ぐことはとても容易になっている」と要因を挙げた。

(Full-Count編集部)

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