絶望のプロ人生「どうやってクビになるか考えていた」 3年で戦力外…元右腕の再起
ブラジル料理店を開店すると同期の雄平から贈り物「どうやって知ったのか」
社会人になって感じたのは「あの世界にいればいるほど勘違いする」ということ。プロ野球選手という立場に甘えて、努力が足りなかったことに気づいた。当時はコーチにも歯向かったが「良くしたいから伝えてくれたのかな。18歳の頃にはわからなかった」と振り返る。「だから同じミスをしないように」と苦い経験を糧に第2の人生を突き進んできた。
なかでも特に感謝を伝えたいのが同期入団でドラフト1位の雄平氏だ。寮の部屋が隣だったことで親しくなると、毎日寝る前に語り合う仲に。「2軍の選手は早く寝るのに、23時くらいにとんとんとノックしてくるんです。お互いに気を遣って野球の話はしなかったかな」。辛い日々の中で唯一、心を許せる存在だった。
そんな雄平氏とも引退後は長らく疎遠になっていたが、野手に転向して活躍したときは「本当に嬉しかった」と、ずっと気にかけてきた。そして、ブラジル料理店を開店した際には、サイン入りのユニホームが送られてきたという。
「どうやって知ったんですかね。当時の選手とは壁を作っているんですよね、雲の上の存在なので。変に連絡を取らないほうがいいかなって……。どこかタイミングを見てちゃんと連絡したいと思います」
雄平氏も今季限りで現役を引退して、楽天の2軍打撃コーチとしてセカンドキャリアを歩み始めた。高卒3年で戦力外、野手転向でプロ19年とまったく違う道を進んできた2人の今後に注目したい。