180通の履歴書で開いたMLB傘下の日本人監督 ボイラー室に寝泊まりした壮絶過去

開かれる「日本人初のメジャーリーグ監督」への道

 こうした地道な就職活動も実り、2018年にツインズ傘下のエリザベストン・ツインズ(ルーキーリーグと1Aの中間レベル)のコーチとして採用された。2020年にはガルフコーストリーグ・ツインズ(ルーキーリーグ)の監督に抜擢され、今季もフロリダ・コンプレックスリーグ・ツインズ(同)で指揮を執った。MLBの監督の人選は現役時代の実績に関わらず、指導者としての経験が重視される傾向が強いだけに、三好さんの目の前には「日本人初のメジャーリーグ監督」への道も開かれている。

 100人中99人が諦めそうな状況であっても食い下がり、自分の居場所を作っていった三好さん。その強さはどこから湧き出るのだろうか。「諦めが悪いのです」と照れ笑いを浮かべた後、「心って筋肉みたいなものだと思う。最初にバーンと跳ね返された時は落ち込みますが、それを重ね経験則が付いて要領が分かってくると、回復が早くなる。特に若いうちは、たくさん失敗しておいた方が心は強くなると思います」と言った。

 そして、こう付け加える。「物事を簡単に諦めてしまう人が多いように見えるのは、たぶん、何をしたいのか、何のために戦っているのかということだと思います。僕は自分が良くなりたいだけではなく、日本の野球界をこうしたい、これが絶対に必要だと思ってやっているので、出る力も違うと思います」。

 シーズンオフには毎年帰国し、少年野球の指導や講演活動を行う。さらに今オフには、建設業などを営む「株式会社日本晴れ」が創設した社会人野球チーム「Nbuy(エヌバイ)」の臨時コーチに就任。来年から都市対抗出場を目指す新チームを指導している。18歳の時に抱いた志は、時を経ても少しも変わっていない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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