青木宣親はNPB「通算打率」トップを奪還できるか 昨季の不調で陥落、新鋭の登場も

ヤクルト・青木宣親【写真:荒川祐史】
ヤクルト・青木宣親【写真:荒川祐史】

青木が下げて.319の2位、リーが再び首位浮上

 2021年を終え、プロ野球記録の世界にも大きな変動が起こっていた。ヤクルトの青木宣親外野手が、2018年途中から守って来た「通算打率1位」の座から陥落したのだ。代わって「首位打者」となったのは、返り咲きとなるレロン・リー(元ロッテ)。青木は5687打数1819安打で打率.31985229。リーは.32002432。実に0.00017203、漢字で表せば1毛7糸差というミクロの争いで2位となっている。

 NPBで首位打者3度、最多安打2度の実績を誇る青木の通算打率は、大リーグ・ブルワーズに移籍した2011年オフの段階で3900打数1284安打の.329で止まっていた。この記録の基準となるのは4000打数で、まだその前提を満たしていなかった。

 2018年にヤクルトへ復帰、その年5月3日の中日戦(神宮)で通算4000打数を超え、試合終了時点では4001打数1310安打の.327。1993年から首位を守って来たリーを超え、トップに立っていた。ただこの高打率ををキープするのは、青木といえども難しい。特に今季はシーズン打率.258に終わり、通算打率を2020年終了時の.325から6厘近く落とすこととなった。

 来季以降、首位返り咲きはあるのだろうか。5日で40歳を迎えることを考えれば容易ではない。フル出場して.350近い成績を残せば文句なしだが、ヤクルト外野の新旧交代が進み、青木が代打業に徹したりするとまた別の可能性が出てくる。

 かつて、この記録はチームの大先輩にあたる若松勉の代名詞だった。リーに抜かれたものの、長らく日本人1位だった.319を残している。若松は最後に100試合以上に出場した86年オフの数字が.3189。翌年から出番を減らしたものの、代打を中心に高打率を残した。1987年は.377、1988年は.348を記録し、通算打率を引き上げている。青木にも同様の可能性がないとは言えない。

 また、今後通算打率トップの座を新たに狙える候補には、ソフトバンクの柳田悠岐がいる。昨季終了現在で、3946打数1259安打の.319。2015年には.363、2018年には.352という高打率を残したこともあり、まだ33歳。開幕後まもなく4000打数を超え、このランキングに登場する時、どんな打率を残しているだろうか。

【表】NPBの通算打率10傑 現役選手は青木のみ

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