筒香嘉智が金属バットの弊害について言及 野球指導者らとオンラインで懇親

オンラインイベントに参加したパイレーツ・筒香嘉智
オンラインイベントに参加したパイレーツ・筒香嘉智

約60人の参加者と「野球界の未来について」語り合う

 パイレーツの筒香嘉智内野手が8日、オンラインイベントに参加し、約60人の指導者らと野球界の未来について語り合った。その中で筒香は打球が飛びすぎる金属バットがもたらす弊害について言及。今後の日本球界を支える子どもたちの成長を考えるのであれば、1日も早く「バットの太さや重さではなく、反発係数の規定を設けるべき」と提言した。

 かねてより著書を発行したり、外国人記者クラブで会見を行ったり、「子どもたちの未来のために野球界は変わるべき」と声高に訴えてきた。その甲斐もあってか、小中学生を巡る野球事情は少しずつ変化。全国各地で「子どもたちの健康を守りながら、将来大きく開花するように育てよう」という志を持つ指導者が増えてきた。

 例えば、投球数に関して言えば、中学硬式野球では1日80球(2日で120球)、学童軟式野球では1日70球といった上限が設けられ、エースが1人で完投するケースは激減。より多くの子どもが投手を経験したり、チャンスを与えられたりする環境が整ってきた。また、お茶くみ当番を廃止したり、練習時間を短くするチームも増えている。筒香もこういった変化には気付いていると言い、「今まで事例がないことをやろうとしてもなかなか受け入れてもらえない風潮がある中で、思い切ったルール作りや変革に乗り出して下さった方々に敬意を払いたいと思います」と話す。

 また、高校野球で見られた、ある変化についても歓迎。その変化とは、2019年の大船渡高・佐々木朗希投手(現ロッテ)、昨年の天理高・達孝太投手のように、エースと呼ばれる選手の健康が守られる環境が生まれてきたことだ。「エースのプレッシャーがある中でも、指導者に自分の体調を正直に伝えられたことに意味がある。その勇気は素晴らしいし、伝えられる環境があることはいいこと」と称えた。

 同時に今回、筒香が繰り返し訴えたのが「金属バットによる弊害」だ。米国では金属バットの反発係数に基準を設けることで、打者の技術向上や選手の安全性を考慮している。近年は日本でも低反発バットの導入について議論が起きているが、具体的な話は進んでいないのが現状だ。筒香は「プロに入った時に木製バットに慣れるまで苦労した」という自身の経験を踏まえながら、「高校時代に飛びすぎる金属バットを使うのは、日本の野球選手の将来を左右する」と断言。飛距離が出ないようにするために「バットの太さや重さで調整するのではなく、しっかり反発係数を考慮するべき。その方が安全性という点でも国際基準という点でもいい」と提言した。

 渡米3年目を迎える今年はパイレーツで一塁手としてプレーする予定だが、海を渡った今でも日本球界の未来を思う気持ちに変わりはない。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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