戦力外から「イチゴ農家」転身へ 異色の決断を後押しした妻の“思わぬひと言”

野球少年や保護者への“オンライン個別相談”も模索、YouTubeでの発信も

 仕事にしてみたい――。そんな思いが自然と湧いてきたが、趣味とは次元が違うことは想像に難くない。体力仕事の面もあり、天候にも左右される。なにより家族を巻き込んでしまう。「ダメだろうなとは思っていました」。6歳上の愛妻に恐る恐る話を振ってみると、予想外の言葉が返ってきた。

「野球以外で、こんなに生き生きしているのは初めてじゃない? これからも自分が没頭できる事を仕事にしてほしいと思っているよ。まだ若いんだし、チャレンジしてみようよ」

 即決だった。今春から専門学校に1年間通い、準備を整えるつもり。原点となった“イチゴ作り”を中心に、数年かけて神奈川の地でビジネスとして成立させることを目指す。「若者も含め、幅広い世代の方を笑顔にしたい」。高齢化や後継者不足に直面する現状は把握している。

 同時にNPB経験者としてできる仕事も模索する。野球少年やその保護者を相手に、“オンライン個別相談会”の実施を模索。「技術を教えてくれる人はいると思いますが、相談に乗ってくれる元プロはいないかなと」。さらにYouTubeチャンネルも開設し、育成出身者だからこその苦労話や反骨心を語っていく。

 三十路を前に、家族で向かう再出発。「奥さんに助けられました。自分にできることを考えながら、新しいことにもどんどんチャレンジしていきたいです」。見つけた新たな生きがいに、情熱を注いでいく。

【実際の写真を見る】ベランダで作業する三ツ間卓也氏と育てた作物や花の数々

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